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Destination Station of a Dream
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アポロンの罠で
遠くにいた為に
女神アルテミスは
それがオリオンと
全く気付かぬまま
挑発に乗ってしまった
あなたには
憎む為ではなく
愛する為に
生きて欲しい
あなたの愛を
欲する人がいる限り
あなたには
愛する為に
生きて欲しい
憎む為ではなく
ただ愛する為に……
朝起きてから一度も
妻の姿を見なかった
家から出て
外を見回したが
それらしき人影も
見当たらなかった
見限られて当然だな
もし暗殺が
成されても
私が無事である
保証は全く無い
失敗すれば
どうなるかは
言うまでも無いが
私はまだ寝ている
子供に視線を向けた
これが最後の別れに
なるかもしれない
私は子供の頭を
なでてやった後
弓矢を持って
我が家を出た
私が震えているのは
決して肌寒い朝の
この空気のせいでは
ないだろうと思った
ついに決行の日だ
私は協力者の男の
案内に従って
通用門を見下ろせる
建物の屋上に来た
外壁の外からだと
邪魔が入る可能性が
否定出来ないので
この宮殿の内側から
来訪する蛮人の男を狙う
ここなら邪魔は入らない
かなりの距離はあるが
障害になりそうなものも
通用門までの間には無い
私の腕なら
確実に仕留められる
協力者の話によれば
あの蛮人の男は
この宮殿の主に
謁見する為に
今日あの門をくぐる
その瞬間を私は狙う
あの通用門は来客用だ
他の人間は絶対来ない
だが問題はあの蛮人に
従者がいた場合の事だ
恐らく奴の豪奢な
身なりで見分けは
つくと思うのだが
もし来訪者が複数で
奴を特定出来なければ
また別の機会を
探さねばならない
さらに言えば従者が
いた場合は私の身も
危うくなるだろう
暗殺が成功しても
失敗しても即座に
従者は矢の飛んできた
方向へ向かって来るはずだ
逃げ切れるだろうか私は
そんな私の危惧は
杞憂に終わった様だ
奴が門の前に現れた
しかも一人だった
奴は命を狙われている事を
既に感付いているのだ
フードで顔を隠しその行動を
他人に悟らせぬつもりか
用心深い奴らしい姿だ
だが無駄な配慮だな
もはやお前の命運は
私がこの手に握っている
私は弓を静かに構え
慎重にあの蛮人の男に
狙いを定めそして……
矢を放った
素材提供:GATAG 画家:コッラード・ジアキント(パブリックドメイン)
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2014/03/19 散文詩:連作で小説に近い詩 Comment(0)
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