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2017/10/18

「想いは流れる」第八詩:優しい共犯者





その場の誰も僕に

何も言わなかった

ただ泣きながら

静かに微笑んでいた




それが僕を

いっそう苦しめた




ありがとうと言われた

何を言ってるんだろうと

はっきりしない頭の中で

そんな事を考えていた




誰も何も言わない

泣いているのに

それでも微笑んで

ありがとうと言った




それが僕を

いっそう苦しめた
 
 





 
 
 
 
 
 
僕たちは現在

なぜか電車に

乗っている




言い訳をしなければ

いけないと思うのだ

外に出た彼女は突然

海が見たいと言った




あの時見れなかった海を




気持ちはわからなくは

なかったのだけれど

当然僕は駄目だと言った




彼女は目を細めて

軽く微笑みながら

こんな事を言った




「歩いている方が体に

負担がかかるわよね

電車で行くのだから

その方が私は楽だわ」




そういう問題じゃ

無いだろうと僕は

もちろん反論した




すると彼女は

ますます目を細めて

僕を脅す作戦に出た




「私はこうして外に

もう出てしまった

あなたも共犯だね




私達もう、引き返せないのよっ」




なんて酷い話だ

騙されたのか僕




でも彼女の言葉に

反論は出来なかった

僕は確かに共犯だし




あまり彼女が歩くのを

見てはいられなかった




最初はあんなに

軽かった足取りが

数分でみじめに

引きずられていた




持っている肩掛けの

小さなバックですら

重そうに見えてしまう




座って景色を

眺めるだけの

電車の方が




賢い選択じゃ

ないかと思った




僕はもう既に

気付いていた

これが彼女の最後の

自由なのだという事に




なるべく彼女の

わがままを聞いて

あげようと僕は病院を

出る時に決めていたのだ




物凄く

怒られると

思うけれど




でも、目の前で

窓の外を眺めながら

子供のようにはしゃぐ

彼女の姿を見ていたら




そんな事は

どうでもいいと

その時の僕は

思ってしまった




やがて電車は

終点に着いた

海が見える小高い

自然に囲まれた山麓




駅のすぐ傍に

美しい森の間を

海へ向かって

川が流れていた




電車を降りて

彼女は木々の間に

ほんの少し見える

海をずっと眺めてた




本当はそこまで

君を連れて行って

あげたかったけど




帰りの電車代しか

僕の財布にはもう

残されてなかった




僕はそれを正直に

彼女に打ち明けて

君の気が済んだら

戻ろうかと言った




彼女はすぐには

答えなかった

そしてしばらくして

こんな事を僕に言った




「歩いて行けない

距離じゃなさそう




ね、行ってみない?」















写真提供:写真素材「足成」様

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2014/03/03 散文詩:連作で小説に近い詩 Comment(0)

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