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Destination Station of a Dream
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世界にまだ錬金術と精霊
魔法があると信じられていた最後の時代
巡礼の旅を続ける一人の女性の姿があった
ある時は木陰で雨露を凌ぎ
晴れた日は草原で寝転び
老夫婦の施しに何度も頭を下げ
泉で水を飲みまた歩き始める
そして様々な言葉を
人々の記憶へ残して去っていった
強く印象に残るものではなかったが
ふとした瞬間やありふれた日常の中で
つい思い出してしまう言葉の数々
それはまるで彼女の様だった
ルルドの魔女は死んだ
その噂を最後に
彼女は忽然と姿を消した
多くの人が伝え聞いた話では
彼女は魔女として捕らえられた後に
巧みな話術で看守を騙し剣を奪って逃走
追い詰められ崖から身を投げたという
追った看守も左腕を切られ
重傷を負い不本意にも
軍を退かねばならなかった
彼女の遺体は崖下の濁流に流され
損傷が激しかったが
看守によって確認だけは出来た
報告書の方にはそう簡略に記されていた
彼女に関わった全ての人々が
その光景を想像できなかった
彼女はついに堕落し救済を拒んだ
その噂を信じることができなかった
彼女は魔法が使えるわけではなく
錬金術に長けているわけでもなく
精霊達の声を聞けたわけでもない
どこにでもいる普通の女性だった
思慮深く儚げな黒い瞳が印象的な
どこにでもいる普通の女性だった
ルルドの魔女は死んだ
その噂を最後に
彼女は忽然と姿を消した
世界にまだ錬金術と精霊
魔法があると信じられていた最後の時代
彼女は様々な言葉を
人々の記憶へ残して去っていった
撮影者:サヤキ
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2014/01/15 散文詩:連作で小説に近い詩 Comment(0)
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