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Destination Station of a Dream
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ここはお菓子の街
あたりにただよう夢のような香り
キャラメルの道路、ウェハースの壁
チョコレートの花屋、砂糖菓子の靴屋
綿菓子の草木が甘い風に揺れています
女の子はびっくりして目をぱちくり
小人たちは飛び上がって大喜び
どっちを向いてもお菓子、お菓子
みんな一目散に駆け寄って
お口いっぱいにほおばります
小人たちは口々にこう言います
やぁ、なんて素敵な場所なんだ
うん、このビスケットのおいしいこと
ほら、こっちのガムは今まで食べたことないよ
ああ、ずっとここにいて暮らしたいね
女の子も同じ気持ちで言いました
すごいすごい、こんな場所があるなんて
どこに行ってもお菓子ばっかり
ずっとずっと、こうしていたいな
でも何だろうこの気持ち
何かがあたしの心の中で叫んでる
何か大切なことを忘れてる
とても、とても大切なことを
猫の置物は悲しそうにつぶやきました
ほんとうにみんな幸せそう
笑顔でたくさん満たされてる
もう一緒に連れて行くことはできないね
ピエロのあやつり人形も言いました
そうだねみんな見つけたのかもしれない
幸せと笑顔のある場所を
もう一緒に連れて行くことはできないね
その言葉はかすかな風に乗って
みんなの耳へと届きました
女の子も、小人たちも
お菓子を食べる手を止めて立ち上がります
女の子は素直に謝りました
ごめんなさい猫さん、ごめんなさいピエロさん
あたしが探している幸せはこんなものじゃないの
あたしが探している笑顔はこんなものじゃないの
さぁ行きましょう
ピエロさんの小さな願いをかなえるために
ここはお菓子の街
あたりにただよう夢のような香り
キャラメルの道路、ウェハースの壁
チョコレートの花屋、砂糖菓子の靴屋
綿菓子の草木が甘い風に揺れています
悪い魔法使いが用意したお菓子の街
人の心を変える、使ってはいけない魔法
ピエロは泣いていました
うれしくて
猫も泣いていました
うれしくて
2014/01/09 寓話詩:連作で幻想の世界を Comment(0)
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