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Destination Station of a Dream
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最も不幸な事は、愛を失う事ではない
失う愛すら無い事である
こんにちは、サヤキです。
今回の「冥府に住む聖者」のテーマは上記のものです。
愛を失う事はとてもつらい事です。失恋でも死別でも、離別でも。
ただ、愛された記憶がそのまま良き希望になったり、次の恋愛の教訓になったり
様々な形でその人の、現在と未来という泉を潤す可能性があるかもしれません。
最もつらいのは、その機会すら与えられない事だと思うのです。
北欧神話、特にロキに注視したのは、彼が「失う愛すらない」存在の象徴になると
思ったからです。実際には、ロキには献身的な妻もいるのですが。
そして今回のこの作品は「愛を失った人」へのエールでもあるのです。
北欧神話は数々の文献、資料、物語など数多くありますが、その中で恐らく
「ロキは愛されなくなり、神々の気を引く為に私を見ろと足掻いていた」という
解釈をした人間はサヤキが初めてだと思います。いたらすみません(汗
私はロキが、愛されていた過去の呪縛から逃れられず、それゆえに破滅へと走って
しまった……というように感じました。
気まぐれなトリックスターという言葉では、この神を説明できないと思います。
失う愛すら無くしてしまったロキはきっと、乾いた涙しか流せなかったのでしょう。
彼は泣かないと言ったのではなく、涙が乾いたと言ったのです。
そうです、ずっと彼は泣いていたのです。
ちなみに作中にも書いていますが、北欧神話とは元は口承で伝えられる神話でした。
今回のエピソードは「スノッリのエッダ」によるものですが、実はこのお話が編纂
されたのは13世紀とかなり最近のことなのです。
13世紀といえば、アイスランドがキリスト教化されてもう200年も経っています。
つまり、現在伝わるこのお話は、キリスト教の観点から書かれたものなのです。
多くの文献で元々火の神であったロキが、サタン化されて描かれる理由のひとつです。
なので私は違う解釈で、傷付く人間が自分を取り戻す話にこの神話をちりばめました。
こういう解釈の話が、一つくらいあってもいいと思って。
愛を失う事は悲しい事です。しかし将来、偶然このテキストを読んでくれた方が
このお話を再び歩き始める為の、ささやかなきっかけにして頂けるなら、たとえ
それが微力であっても、書いた人間にとってはこれに勝る喜びはありません。
このテキストは、傷付く全ての人へのエールなのですから……
写真提供:GATAG 著作者:ai3310X
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2014/02/08 後書き:生まれ出た言葉の為に Comment(0)
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