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2024/04/27

最後に売っていたもの




「あぁホント残念

 あの店で今日は卵が

 安く売ってたのに」




 その言葉に私は

 微笑みながら応じた




「かの有名な哲学者

 ソクラテスはこう

 言ったそうだよ




 結婚はしたほうがいい

 成功すれば幸せになれるし

 失敗すれば哲学者になれる」




 買い物をし忘れて

 有り合わせで作った

 夕食を無理やり

 飲み下しながら




 目の前の妻も

 微笑みながら

 私に言った




「ケンカ売ってるのね」












写真提供:総合素材サイト「ソザイング」様

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2014/03/14 自由詩:短編を様々な作風で Comment(0)

最後のレストラン




 とある国の貴族の男が

 気紛れで避暑の為に

 田舎街を訪ねました




 宿にいても

 退屈なので

 彼は街を見て

 歩く事にしました




 しかし田舎なので

 なかなか食事が

 できる場所が無く

 困り果てています




 昔は炭鉱の要所として

 栄えた街だったのが

 時代の流れとともに

 寂れていったのです




 その貴族は道行く人に

 その場所を尋ねながら

 やっと探し当てました




 最後に残ったレストランを




 そっと中をのぞくと

 お客は誰もいません

 営業中だというのに




 しかし他のレストランは

 この街にはもうありません




 仕方なく貴族の男は

 お世辞にも旨いとは

 言えぬ粗末な食事で

 空腹を満たしました




 支払いの時に

 貴族の男は

 その金額を聞いて

 酷く驚きました




「あの粗末な食事で

 そんな法外な金額とは




 ひょっとして私が

 食べた肉はそんなに

 貴重なものだったのかね?」




 貴族の男の問いに

 店の主人は笑顔で

 こう答えたのです




「いいえ貴族様

 このあたりでは大して

 珍しい肉ではありません




 貴重なのは金持ちの客です」












 
撮影者:サヤキ ※フィクションです。この建物と本文は実際には何の関係もありません。

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2014/03/13 詩 劇:広義の詩的形式の劇 Comment(0)

最後の言葉




この国はもう駄目だ 

押し寄せる民主化の 

波に乗ったはいいが 




自由と言う名の器に 

物を入れ替えただけで 

中身は腐ったままだ 




相変わらず官僚は金で 

権限を買いやりたい放題 

それに群がる奴も同罪だ 




官僚を監視する仕組みが 

まだこの国には無いのだ 




この国は何も変わっちゃいない 




だが私はこの民主化とやらに 

感謝をしなくてはならない 

主義主張は些細な行き違いで 

仲間に造反を産む事もあるが 




金は決して裏切らない 




私は解体された旧国家 

秘密警察の隠し資金の 

一部を手中にしたのだ 




新政権に接収された額に 

比べれば朝露の如しの 

昼には蒸発し消えそうな 

ささやかな金額なのだが 




個人を一生食わせて 

余りある金だった 




無論容易い相手ではない 

私を追っている存在にも 

既に気が付いている 




旧国家の亡霊の犬だ




この国はもう駄目だ

押し寄せる民主化の

波に乗ったはいいが




自由と言う名の器に

物を入れ替えただけで

中身は腐ったままだ




私は身を隠す為に

郊外に潜伏する

必要があった




金は信頼ある義理堅い

元部下に預けてある

20年の付き合いだ




彼なら金を守る為に

殺人すらいとわない

私の腹心中の腹心だ




時間が私に味方をした

時間が経てば経つほど

新政権の秩序が皮肉にも

私を匿ってくれるのだから




旧秘密警察が身動きを

取れなくなるのを私は

ただ待っていたわけではない




私の身元は知れている

対策が必要だった




20kgの減量

顔面の整形手術

指紋を変える手術




体型や顔は簡単だが

指紋だけは厄介だ

今は他の指紋だがやがて

本来の指紋に戻るからだ




だが私には関係無かった




国外に出るまででいい

その後は指紋が戻ろうが

顔が戻ろうがかまわない




外国での夢の生活




その手配も

既に整っている

完璧だった




数日後の私を

悠々自適で

幸せな未来が

待っているのだ




金は決して裏切らない




私は予定通り

約束の時間に

資金を預けた

部下に会った





部下は私を撃った





突然の事で

何が起こったのか

全く理解出来なかった




急速に薄れゆく意識の中

最後に私が耳にしたのは

冷たい部下の言葉だった






「誰だお前」















写真提供:GATAG 著作者:spaceabstract

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2014/03/11 詩 劇:広義の詩的形式の劇 Comment(0)

最後に見た景色




あなたの手が 

そっと離れていく 

余韻をいつも 

置き去りにして 




泣きたくなるほど 

空が青かった 

あなたはそれを見て 

笑っているのに 




何も知らない私を 

何も言わない私を 

望んであなたは 

笑っていた 




雲は姿を変えて 

地平へと流れ行く 

あなたはそれを見て 

笑っているのに 




あなたが望む私 

何も知らない私 

何も言わない私 




泣きたくなるほど 

空が青かった 

もう今はこの空に 

あの雲は見えない 




それは最後に見た景色




過去はいつだって 

取り戻せない 




あなたの手が 

そっと離れていく 

余韻をいつも 




置き去りにして 











写真提供: Free.Stocker 様

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2014/03/10 自由詩:短編を様々な作風で Comment(2)

「想いは流れる」あとがき。



記事の数がなんと二ヶ月で150を超えました。
なんというハイペース。
きっとサヤキはおバカに違いありません。

ですが、サヤキの目指しているものは、数分で忘れ去られる軽い文ではなく、
いつまでも心に残る文です。
長編は全部全力投球です!

ただし、今まで来てくれた方や、これから来てくれる方の為に
急いでコンテンツを増やそう、という思いが優先してしまい
拙い文ばかりになってしまいました……
 
 
 
 
今回は男の子の視点で、最初から最後までお話を進め、
彼が最後に日記を読むことで、女の子の視点でお話を
再度辿っていく、という構成にしてみました。

日記によって、彼女の行動の謎が解けるという仕組みですね。

信じられない事に、サヤキは悲しい話を書く時は、
特に最後なんて泣きながら書いている事があります。

じゃあ書くなよって話なのですが(笑




今回も凄く思い入れのある作品です。全20詩。長いですねえ……
「これもう詩じゃないよ」と思われる方もきっと
いらっしゃるんだろうなぁとは思いますが、それは残念な勘違いです。
でも意外とそう考えてる人が多いですね。

韻文は皆さんご存知の通り、音の反復や一定の繰り返しなどのリズムを持つものです。
古い時代、詩は宗教的なものに使われることが多く、
音調を整えて朗唱し易くしていました。




逆にサヤキが書くものは散文が多いです。
詩的な形式を取ってはいますが、やはり散文です。

散文詩というのは、韻にとらわれない形式の詩を指して言います。
今この後書きで書いているのも散文です。詩的表現のある散文が散文詩と言う事ですね。
散文詩と韻文詩は対義の関係にあります。なのでこの二つを見分けるのは実に簡単です。




ただしここに、現代詩や自由詩などが入ってくるとややこしくなります。
自由詩の対義になるのは定型詩です。この二つを見分けるのも難しくないでしょう。
しかしどれが自由詩で、どれが散文詩で、どれが現代詩かと聞かれると、
少なくともサヤキは困ってしまいます。

なぜなら、サヤキが書いているのは詩であり散文詩であり自由詩であり現代詩だからです。
これを明確に分ける定義は語学者の間でも、今のところ無いようです。




ただし、散文と散文詩は実は全くの別物です。




わかりやすく言うと、今サヤキが書いている文は散文ですが、散文詩ではありません。
散文が散文詩になる為には、詩情(ポエジーと一般に呼ばれるもの)の表現が
必要になってきます。




詩の表現方法として代表的なものは、

「行わけ」行を分けて特定の言葉を強調する、高まり・情景を表現する。
「連」何行かをまとめ、内容をまとめる
「体言止め」文末を名詞で止め強調する
「比喩」直喩・隠喩があり「~みたいな」「のようだ」と表現するのが直喩
    隠喩はみたいな、やようだ、を使わず別の言葉で言い換える表現法
「擬人」物を人間のように例える、感情で表現する
「倒置」言葉の順序を変え強調したい事を先に持ってくる
「反復」繰り返してその言葉や表現を強調する
「省略」言葉をわざと省いて余情を残す

などなどですね。これらが無いと散文は「散文詩」にはなれないのです。
韻文詩と散文詩は対義なので、光と影のようなものなのです。
サヤキの作風は、韻文詩と散文詩両方のいいとこ取りかもですね。




そして、目の前の風景など事柄を切り取った文を「叙事詩」
想像や感情を切り取った文を「叙情詩」と言います。
ギルガメッシュ叙事詩は、第3者が彼の様々な体験や冒険を、自分の感情を入れずに
書き綴ったので「叙事詩」です。




反復のみで言葉を短く並べたものだけがポエムではないのですね。
奥深いです。







 
写真提供:GATAG  著作者:geralt(著作権放棄)

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2014/03/08 後書き:生まれ出た言葉の為に Comment(0)

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「天国に降る雪」

「想いは流れる」(短編)

「いつだって僕の」

「サン・ミシェルの少女」

「想いは流れる」(長編)

「粉雪と涙」

「君の歌が聞こえる」

「最後の言葉」

「天使の両翼」

「君の歌が聞こえる」(後書き)

「最後に見た景色」

「想いは流れる」(後書き)


「君の歌が聞こえる」は初めて

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「君の歌が聞こえる」9970人/1位

「3年待ってね」5478人/1位

「アルテミスの弓」6171人/1位

「サン.ミシェルの少女」5377人/1位

「珍しいペット」5365人/1位

「君の歌が聞こえる」5438人/2位

「夢も見ずに」5407人/2位

「消えていく私」5423人/2位

「戦争と平和と愛について」5356人/4位

「冥府に住む聖者」5362人/5位

「天国に降る雪」5351人/5位

「悠久の中の一瞬」5339人/5位

「欠片の記憶」5422人/9位

「消えていく世界の片隅で」6203人/9位

 
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