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Destination Station of a Dream
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どうやら私は
助かったらしい
それにしても
信じ難い体験だった
その館の中には既に
命あるものは無かった
私は少しばかり
それに気付くのが
遅かったようだ
私の腕はまだ
血を流している
致命傷ではないが
刺すように痛む
何が起こったのか説明が出来ない
ただ、見たものを
そのまま言えば
あの館の中に
生きている者は存在せず
訪れた私を
出迎えたのは
全て死者であった
ということだけだ
そしてその死者たちは
何も知らず奥へ進んだ私に
次々と襲い掛かってきた
あまりの恐怖に
そこからは
私の記憶は
混濁している
ただ生き延びるだけに必死で
どこをどう逃げたかさえ
全く思い出せないのだ
とにかく一刻も
早く館の外へ
それだけが
あの呪われた場所での
私の唯一の望みだったのだから
次々と襲い掛かる
その不気味で醜悪な存在
私は出口に近い
ドアへ走ったが
もはやそこも
その存在が塞いでいた
私は木枠の窓を破り
庭へ出ようとした
しかしその木枠の窓の向こうにも
その禍々しい姿の存在が
その赤黒い爪を
私の喉元に突き立てようと
待ち構えていた
他に出口は無いか
必死で探した
私は怪我を負ったが
ようやく裏口から庭に
そして館の外へ脱出に成功した
私は痛む腕の出血を
もう一度確認し
そして気付いてしまった
私が破って
逃げようとした
木枠の窓は
窓ではなく鏡だったのだ
写真提供:GATAG 著作者:George Hodan
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2014/02/09 自由詩:短編を様々な作風で Comment(0)
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