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Destination Station of a Dream
この国はもう駄目だ
押し寄せる民主化の
波に乗ったはいいが
自由と言う名の器に
物を入れ替えただけで
中身は腐ったままだ
相変わらず官僚は金で
権限を買いやりたい放題
それに群がる奴も同罪だ
官僚を監視する仕組みが
まだこの国には無いのだ
この国は何も変わっちゃいない
だが私はこの民主化とやらに
感謝をしなくてはならない
主義主張は些細な行き違いで
仲間に造反を産む事もあるが
金は決して裏切らない
私は解体された旧国家
秘密警察の隠し資金の
一部を手中にしたのだ
新政権に接収された額に
比べれば朝露の如しの
昼には蒸発し消えそうな
ささやかな金額なのだが
個人を一生食わせて
余りある金だった
無論容易い相手ではない
私を追っている存在にも
既に気が付いている
旧国家の亡霊の犬だ
この国はもう駄目だ
押し寄せる民主化の
波に乗ったはいいが
自由と言う名の器に
物を入れ替えただけで
中身は腐ったままだ
私は身を隠す為に
郊外に潜伏する
必要があった
金は信頼ある義理堅い
元部下に預けてある
20年の付き合いだ
彼なら金を守る為に
殺人すらいとわない
私の腹心中の腹心だ
時間が私に味方をした
時間が経てば経つほど
新政権の秩序が皮肉にも
私を匿ってくれるのだから
旧秘密警察が身動きを
取れなくなるのを私は
ただ待っていたわけではない
私の身元は知れている
対策が必要だった
20kgの減量
顔面の整形手術
指紋を変える手術
体型や顔は簡単だが
指紋だけは厄介だ
今は他の指紋だがやがて
本来の指紋に戻るからだ
だが私には関係無かった
国外に出るまででいい
その後は指紋が戻ろうが
顔が戻ろうがかまわない
外国での夢の生活
その手配も
既に整っている
完璧だった
数日後の私を
悠々自適で
幸せな未来が
待っているのだ
金は決して裏切らない
私は予定通り
約束の時間に
資金を預けた
部下に会った
部下は私を撃った
突然の事で
何が起こったのか
全く理解出来なかった
急速に薄れゆく意識の中
最後に私が耳にしたのは
冷たい部下の言葉だった
「誰だお前」
写真提供:GATAG 著作者:spaceabstract
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