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Destination Station of a Dream
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あなたのその祈りは
訪れることの無い明日を
霧散し掴めなかった夢を
永遠の安らぎへと昇華する
あなたのその祈りは
生きよと命じ息を吹きかけ
雛は殻を破りて姿を現し
外の世界でさえずりはじめる
想いは決して失われなかった
たとえ天と地が秩序を失い
あなたを照らしていた星々が
燃え尽きて地に堕ちようとも……
信じ難いまでの葛藤と絶望に彼は襲われていた
彼はその表情に雷雨を伴った
夜の様な暗雲をたちこめさせ
普段の彼らしからぬ様子を
愛する妻の前に晒していた
彼女のおなかの中には
新しい生命が宿ったと
彼は聞かされていた
幸福に満たされた妻の笑顔
そんな妻に
この事実を伝えねばならない
彼の笑みは空虚で乾いていた
そんな彼の様子に気付けずに
妻は子供の名を考えていた
そして少し意地悪な笑顔で
彼にこう言ったのだった
「子供が生まれたら
あなたもたくさん遊んであげてね」
訪れるはずの無い未来に
妻はうっとりと目を閉じた
蝕む病魔と呪われた運命に
彼の胸は締め付けられていた
それでも妻に
この事実を伝えねばならなかった
彼を決して責める事はできない
なぜなら彼自身が未だに
この事実を受け入れられず
混乱し苦しんでいたのだから
彼は空虚な笑顔を
その乾いた笑顔を
無理に顔に貼り付けたまま
部屋を去り眠りについた
この呪われた運命を
愛する妻に告白出来ぬままに
蝕む病魔
葛藤と絶望
訪れるはずの無い未来
霧散し掴めなかった夢
僕は死ぬ
子供が生まれる
僕の命はあと数ヶ月
子供が生まれる
僕は子供に
僕は子供に
会う事が出来るのだろうか
2014/01/17 散文詩:連作で小説に近い詩 Comment(0)
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