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Destination Station of a Dream
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あなたの残された時間を
わたしにください
あなたを愛しています
あなたの笑顔をもう一度
わたしにください
あなたを愛しています
それはあなたへの誓い
それはあなたへの覚悟
微笑を絶やさず生きる誓い
幸せの記憶に寄り添う覚悟
あなたが残してくれた
唯一の希望最後の奇跡
天使の両翼は遥か彼方
力強くはばたいていく
あなたが見守るあの空の下を
あなたの残された時間を
わたしにください
あなたの笑顔をもう一度
わたしにください
あなたを愛しています……
彼は愛しい妻の名を叫びながら
居間に転がるように駆け込んだ
かつて彼等の憩いの場所であった
その部屋に彼女への想いを込めて
しかし彼の期待は
再び裏切られた
居間には想い焦がれた
美しい妻の姿はない
彼は深くため息を吐いて
かつては二人で
並んで座っていた長椅子に
たった一人で横になった
彼は再び深い絶望感に
さいなまされていた
自らの未練を再確認し
すがる希望も残されていない
やはり自分は
あの薄汚い町角で
あのまま死んでいれば良かった
そんな事を考えながら
彼はゆっくりと目を閉じた
僕は目を閉じるだけで
まるで君が
そこにいるみたいに
君を思い出せるよ
そして彼は
ゆっくりと目を開いた
しかしそこには彼女はいない
頭痛、けだるさ、体中の痛み
それが彼を待っていた
冷たい現実だった
自分が馬鹿だった
もうこの家を出よう
そして二度と戻るまい
そう彼が再び決心して
身体を起こそうとした
その時
「お帰りなさい」
若い女性の声だった
彼がよもやその声を
聞き違う事があるだろうか
想いの歯車が
再び重なり合い
音を立てて再び動き出す
止まっていた時計の針が
再び終幕へ向けて進み始める
2014/01/18 散文詩:連作で小説に近い詩 Comment(0)
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