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Destination Station of a Dream
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風がくすぐったいなんて
思ったこともなかった
世界が輝いているなんて
思ったこともなかった
草原で転んで
痛くないと
笑っていた
川の水が
冷たいと
驚いていた
誰もいないところで
悩んでいるくせに
誰もいないところで
泣いているくせに
それでもあの娘は
幸せだと笑った
僕に出来る事なんて
もう何もなかった
風がくすぐったいなんて
思ったこともなかった
世界が輝いているなんて
思ったこともなかった
出逢ってしまったことに
僕は激しく後悔していた
出逢わなければきっと
あの娘は幸せだった
悩んでいるくせに
泣いているくせに
それでもあの娘は
幸せだと笑った……
「私ね、もうすぐ死ぬの
だから今日は最後の
誕生日なのよ」
まるで他人事のように
淡々とあの娘は言った
生まれつき心臓が悪く
長くは生きられない
そう医者から言われて
今まで生きてきたそうだ
僕は何と答えればいいのか
わからずにただ話を
聞き続けていた
あの娘は知りたく
なかったと言った
でも聞いてしまった
病院での検査のあと
なかなか戻ってこない
父親を探していた時に
自分の命があと数ヶ月だと
偶然聞いてしまった医者の言葉
今でも信じられないそうだ
嘘だと思いたいそうだ
何かの間違いだと
あの娘は何日も悩んで
それから思い切って
聞いてしまったことを
ついに父親に打ち明けた
間違いだと言って欲しかった
全部嘘だと言って欲しかった
でもあの娘は気付いたそうだ
そんなはずないだろう、と
言いながら泣いてしまった
父親の姿を見て
僕に何か出来るとは
とても思えないけど
また来ると約束して
僕は自分の家に戻った
とてもいい誕生日会
だったと僕も思う
きっとあの娘の父親が
せめて最後の記念日は
人を集めて賑やかにと
そう、願ったのだろう
私ね、もうすぐ死ぬの
だから今日は最後の
誕生日なのよ
最後の誕生日
あの娘の言葉が
耳から離れない
今日は僕はもう
眠れそうもなかった
写真素材♪ラブフリーフォト 撮影者:キーチャン 様
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2014/03/01 散文詩:連作で小説に近い詩 Comment(0)
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