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Destination Station of a Dream
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警察での事情聴取は
驚く程簡単に終わった
そして警察の人は
最後に僕にこう言った
「彼女が持っていた
日記は間違いなく
本人の筆跡だったよ」
亡くなった彼女に
僕は守られていた
僕に非は無いという
内容だったのだろう
僕は彼女の葬儀に出た
逃げる事は絶対に
許されなかった
もし誰かが許しても
僕自身が許せなかった
親族の人や関係者が
たくさん訪れていた
もちろん全員僕の事を
知っているはずだった
その場の誰も僕に
何も言わなかった
ただ泣きながら
静かに微笑んでいた
それが僕を
いっそう苦しめた
ありがとうと言われた
何を言ってるんだろうと
はっきりしない頭の中で
そんな事を考えていた
誰も何も言わない
泣いているのに
それでも微笑んで
ありがとうと言った
それが僕を
いっそう苦しめた
そのお礼を言っている人が
彼女の母親だと気付いた時
隣に立っていた父親が
僕に話しかけてきた
「……君を殴って
やろうと思っていた
だが子供が
持っていた
日記を読んで
私の考えは全く逆に
変わってしまったよ
本当にすまなかった
つらい思いをさせた
日記にも書いてあるが
君が気に病む必要は無い
残念だが私の子供はもう
長くは無かったのだから
子供の遺言が日記の
最後に書かれていた
君にこの日記を
渡して欲しい、と……」
僕は受け取った彼女の
日記を呆然と眺めていた
彼女との最後の夜に見た
あの日記帳だった
僕は彼女の気持ちを
知るのが怖かった
答えは目の前にあった
だがそれを見るのに
少なくない勇気が
必要だったのだ
恨んでいただろうか
不自由の無い体の僕を
妬んでいただろうか
結果として僕は
彼女に何もして
あげられなかった
苦しかったはずだ
悲しかったはずだ
その先に希望など
無いと知っていた
それでも僕はあの笑顔を
嘘だと思いたくなかった
どうしても信じたかった
答えは目の前にあった
でも僕は彼女の気持ちを
知るのが怖かった
写真提供:GATAG 著作者:George Hodan(著作権放棄)
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2014/03/04 散文詩:連作で小説に近い詩 Comment(0)
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